転院~容態悪化 DIC~
入院2日目の夜、歯磨きをしていたら、どろっとした血の塊が、口から流れ出てきた。
ティッシュで押さえても止まらず、すぐに真っ赤に染まり、服の袖口に鮮血がついた。
体温 38.5
歯肉出血
悪寒
寒気がして暖房の温度を上げ、マフラーと上着を着た。
部屋内の移動も辛くなり、入院した時より明らかに悪化している。
看護師さんに座薬を入れられて、歯磨きはせず、うがいだけにするように言われた。
ティッシュで押さえても止まらず、すぐに真っ赤に染まり、服の袖口に鮮血がついた。
体温 38.5
歯肉出血
悪寒
寒気がして暖房の温度を上げ、マフラーと上着を着た。
部屋内の移動も辛くなり、入院した時より明らかに悪化している。
看護師さんに座薬を入れられて、歯磨きはせず、うがいだけにするように言われた。
どうしてこんなにしんどいのだろう?
熱も出て明らかにおかしい。
不安と高熱で眠れず、しんどさと闘っていた。
入院から3日目の朝。
朝食を摂ろうとしたら看護師さんが来て、「絶食になったから引き下げるね」と、飲み物も禁止になりジュースも下げられてしまった。
食欲は無いけれど、ジュースは飲めると思ったのに…。
絶食になってしまい、栄養は全て点滴になった。
WBC 16500
Hb 8.3
PLT 1.6
CRP 2.0
LDH 6073
PT 27.8%
APTT 25.2
Fib 91
D-D 60.10
FDP 33.1
TAT 16.3
PIC 10.2
前骨髄球 1%
不明細胞 70%
先生が病室に来た。
入院当初は資格試験の話や、世間話などしていたけど、どんどん深刻な表情になっていた。
「なかなか転院先が見つからないから、もう他府県の遠くの病院に当たってもいいかな」
「できれば近くの病院がいいです」
そう私が答えると
「今はそんなこと言ってるけど、あなたの今の状態は、あと3日、もつかどうかの状態なんだよ」
と先生が深刻な表情で言った。
突然余命宣告をされて、自分の状態がそんなに深刻だったんだと知り、急に死が身近に感じて、怖くなった。
「もう遠くの病院でもいいからお願いします」
そう先生に言った。
「じゃあ もう片っ端から当たってみるから」
「今日は祝日でどこも病院が休みだから、明日の朝一番に受け入れてくれる病院が見つかったら、そこに転院になることでいいね」
「はい」
そう言うと先生が病室から出て行った。
先生は焦りを隠せない雰囲気だった。
もしかして私はこのまま死んでしまうのか?
怖くなって泣いていたら、看護師さんが部屋に入ってきた。
「私、白血病なんですか?」
「専門の病院で検査をしてみないとわからないけど」
「今は白血病は不治の病ではないよ」
「もっと治療方法もない難病とかあるけど、今は白血病は昔と違って治療できる病気だから」
「転院したら、しばらくの間入院治療になるから大変と思うけど頑張ってね」
看護師さんが明るく前向きな言葉で励ましてくれて、希望が持てた。
しばらくすると
「転院先が見つかった!」
先生が慌てて病室に入ってきた。
「○○病院に今から救急車で搬送してもらうから、すぐに準備して!」
今日は祝日で明日転院と聞いていたのに、血液内科の専門医の先生が、たまたま日直で出勤していた病院に繋がった。
一駅向こうにある、希望していた中の病院になってホッとした。
救急車が到着して、救急隊の人が病室に入ってきた。
左右の腕には輸血と点滴が繋がったまま、マスク、マフラー、毛布に包まれて、ストレッチャーで搬送された。
先生と、ちょうどお見舞いのために、病院に着いていた母親が同乗した。
救急車の中で、脈拍を測る機械を指につけられた。
初めて救急車に乗って、信号機も関係なく、車が道をあけてくれている。
いつも外から見ていた救急車の中は、こんななんだと不思議と冷静に周りを見ていた。
いつの間にか、自分がすごく病人になったように感じた。
信号待ちのない移動は早くて、すぐに転院先の病院に着いた。
明るく、のどかな感じだ。
ストレッチャーでそのままクリーンルームに入室した。
看護師さんたちが、慌ただしく輸血と点滴をセットして、ビニールカーテンで囲われているベッドに入った。
頭上からは空気を清浄する機械、アイソレーターの風の音。
周りをビニールカーテンで囲われて、まるで動物園の檻の中に入れられた。
動物になったみたい…。
新しい病院のDr.に説明し終えた、一緒に来てくれた先生の大きな声が聞こえてきた。
「ray*さん、先生の言うことよく聞いて頑張ってな!」
「はい、ありがとうございました!」
新しい病院のDr.に説明し終えた、一緒に来てくれた先生の大きな声が聞こえてきた。
「ray*さん、先生の言うことよく聞いて頑張ってな!」
「はい、ありがとうございました!」
そうして新しい病院での、クリーンルーム入院生活が始まった。